長崎発掘
長崎発掘
宮﨑貴夫著
原の辻(壱岐)や旧県庁跡地(長崎市)などで
発掘調査を行ってきた考古学者が、長崎の遺跡
と歴史認識について縦横無尽に考察。
出島は1643年に徳川家が築造を命じ2年後に
完成したが、①誰が設計したのか、②なぜ扇形
なのか、③埋め立てに用いた土はどこから運ん
だのか等についての史料はない。
本書ではこれらの基本的な難問についても十数
人の名だたる研究者の推論を紹介している。
《目次》
第Ⅰ部 長崎発掘
第1章 長崎の基層文化と長崎文化
第2章 日本の生活文化のなかの波佐見焼
―陶磁器を使っているのは、
波佐見のおかげー
第3章 長崎県考古学の三つの課題
第4章 遺跡は、誰のものか
第5章 長崎奉行所と出島
―「鎖国」で生まれた双子の兄弟―
第Ⅱ部 思索する考古学
第6章 考古学の定義
第7章 総合学としての考古学
第8章 考古学は歴史学の補助学か
第9章 考古学と地域史研究
第10章 ものごとの発端にさかのぼり考える
第11章 マルクス主義歴史学と考古学
―近藤義郎著
『前方後円墳の時代』についてー
第12章 考古学は役に立つのか?
第13章 考古資料と「歴史的事実」
―「旧石器捏造」事件との関わりについてー
第14章 過去から届いた手紙を読む
第15章 かけらたちとの対話
―「破片考古学」の提唱―
第16章 考古学の愉しみ
《著者略歴》宮﨑貴夫(みやざき たかお)
福岡県大牟田市生まれ。長崎県島原市に転居して
中学2年のときに考古学に出会う。明治大学文学
部史学地理学科考古学専攻卒業。福岡県文化課文
化財調査員(嘱託)長崎県教育庁文化課(学芸文
化課)、原の辻遺跡調査事務所、長崎県埋蔵文化財
センターに勤務し、長崎県の埋蔵文化財保護行政に
従事。退職後、長崎県考古学会副会長として会の運
営に関わる。九州考古学会員、長崎県考古学会員、
西海考古同人。
著書:『原の辻遺跡』日本の遺跡32(同成社2008)、
『長崎地域の考古学研究』(自費出版2019)。
共著:『前方後円墳集成 九州』(山川出版社1992)、
『日本土器製塩研究』(青木書店1994)、『風土記の
考古学』5(同成社1995)、『倭人伝の国々』(雄山
閣2000)、『戦国時代の考古学』(高志書院2003)、
別冊太陽(平凡社2005)、『倭人伝をめぐる国々』
季刊考古学別冊(雄山閣2012)、『古代壱岐島の世
界』(高志書院2012)『長崎の岬Ⅱ』(長崎文献社
2020)
定価(本体2200円+税)
A5判並製 276頁
ISBN978-4-88851-436-1